
スマートウィル代表坂本によるコラムシリーズ第一弾の第4回をお届けします。
「顧客の顔が見える」という言葉を、私たちはよく使います。
しかし、その“顔”とは何を指すのでしょうか?
年齢、性別、住所、会員ランク……
そうした「属性情報」が揃っていても、それだけでは顧客の“今”や“想い”は見えてきません。
ましてや、関係性の深さや、これまでのやり取りの積み重ねは、数字の羅列からは読み取れないものです。
数字ではなく、ストーリーを見るという視点
マーケティング部門がよく使う「セグメント別アプローチ」や「LTV向上施策」。
それらは大切な視点ではありますが、“顧客”と向き合うには、数字の先にある文脈やストーリーを読む力が欠かせません。
• この人は、なぜこのタイミングで来店したのか?
• 何をきっかけに、購入頻度が変わったのか?
• どんな対応や言葉が、次の接点を生み出すのか?
こうした「関係の物語」を可視化することこそが、CRMに求められる本質機能なのです。
クライアンテリングCRMが描く、関係の“立体像”
スマートウィルが提唱する「クライアンテリングCRM」では、
顧客一人ひとりの行動や反応を点ではなく線と面で捉え、
その関係性の変化・成熟・滞留までを読み取る“立体的な視点”を重視しています。
実際、私たちが開発・提供している「BoCRM」でも、
この思想に基づいて、単なる購買履歴ではなく、来店頻度・対応履歴・Web閲覧傾向などを複合的に解析することで、
「今、この顧客がどんな状態にあるか」を組織全体で共有できるよう設計しています。
つまり、見えているのは単なるデータではなく、「関係性の現在地」。
顧客の“顔”を、数字だけでなく「物語」として見る力を、BoCRMは支えています。
属人化から“関係知の共有”へ
かつて、顧客の顔が見えるのは「特定の店長」や「ベテランスタッフ」に限られていました。
しかし、これからは違います。
• システムで情報を蓄積し
• 共有しやすい形で可視化し
• 組織全体で関係性を引き継ぎ、育てていく
こうした“関係知の継承”が仕組みとして存在することが、
持続的なロイヤルティ形成につながるのです。
目指すべきは、「データで人を見る」のではなく、「人を理解するためのデータ」
CRMの本質は、「管理」ではなく「理解」です。
クライアンテリングCRMとは、顧客の“顔”を定義し直す取り組みでもあります。
「このお客様の表情が、最近明るい気がする」
「この方が来ると、スタッフがちょっと元気になる」
そんな感覚的なものまでを含めて、関係性を“デジタルに写す”こと。
それこそが、CRMにできる最も人間的な仕事なのかもしれません。
次回予告
第5回|CRMのPDCAは、まず“C”から始めよ
顧客との関係性を、どう「観察」し、仮説を立てるか。
【Smartwill’s 視点】
「誰が買ったか」よりも、「どんな関係で買っているか」を見る力が、CRMの質を決めます。
Smartwillでは、クライアンテリングCRMの考え方のもと、顧客の“関係状態”を定点観測する仕組みづくりを支援。
BoCRMでは、購買履歴や来店頻度に加え、応対履歴やサイト閲覧なども一体化して「顔が見える関係性」を設計しています。