【CLIENT STORIES】HUGO BOSS Vol.1

店舗スタッフによる顧客とのリレーション強化を実現したCRMプログラム


ヒューゴボスジャパン株式会社のインシーズンマネジメント/マーケティング&コミュニケーションズ 部長でいらっしゃる佐々木 基之様にお話を伺いました。

世界124か国、6100以上の店舗展開をされているプレミアムブランドHUGO BOSS(ヒューゴボス)は、2018年から当社のCRMコンサルティングサービスを導入いただいています。ご支援させて頂いて丸2年が経過いたしましたので、日本法人No.2でいらっしゃる佐々木様にこれまでの振り返りなどをお話しいただきました。
HUGOBOSSJAPANのCRM戦略のコアな部分は、個々のお客様に関わるお話ですし、企業の重要な経営戦略ですので、開示出来ないお話も沢山して頂きましたが、少しデフォルメしながら、スマートウィルの仕事ぶりなどを垣間見て頂く機会となれば幸いです。

インタビュアー:株式会社スマートウィル 代表取締役社長 坂本雅志

プレミアムアパレルブランドとしての使命、期待される役割、限定的な顧客像

坂本

いつもありがとうございます。
まず、人気を誇るプレミアムブランドHUGO BOSSの事業の概要や、ブランドの特徴について、お聞かせください。

佐々木

坂本さんの改まった感じが、ちょっと新鮮ですね(笑)

HUGO BOSSはドイツで創業したプレミアムブランドです。洗練されたシンプルなデザイン、上質な素材と、優れた機能性を持つ商品展開を行っています。テニスや、ゴルフ、サッカー、モータースポーツなど世界的なスポーツイベントへの協賛なども積極的に行うなど、常に新しい取り組みを行っています。国際的に誰もが知るブランドに発展してきていると実感します。日本では、百貨店や路面店で約50店舗を展開しています。

プレミアムブランドですので、ご愛用頂いている顧客は限られた方々です。一般的なアパレルブランド以上の付加価値を提供しなければなりません。ブランディングを行い、厳選された高級な立地に出店し、顧客に上質、かつパーソナライズなサービスの提供を心掛けています。

CRMプログラムの必要性

坂本

その限られた方々にご愛顧頂いてこられた訳ですから、顧客とブランドの絆も相当固いように感じます。顧客戦略を描くうえで、どのような課題がお有りでしたか?

佐々木

プレミアムブランドとして、顧客管理はとても大切です。ドイツ本国を中心に、顧客管理には、力を入れておりまして、全世界のデータが、強固なセキュリティ体制の上で、集約的にシステム管理されています。一方で、世界共通のシステムであるがゆえに、現場での柔軟な活用が難しく、紙媒体の顧客名簿で日々の顧客管理を行っていたこともありました。

また、スタッフのCRMへの知見も、個人差があり、区々な状況でしたので、全国の店舗スタッフにとって、活用しやすく、全体のレベルアップにつながるCRMプログラムの必要性を感じていました。

店舗スタッフが使いやすいCRMプログラムの構築

坂本

なるほど、店舗スタッフの皆さんにとって、活用しやすいCRMプログラムの構築を模索されていたのですね。

佐々木

その通りです。店舗スタッフによる接客販売が中心ですので、現場活用にいかに落とし込めるかどうかが大事なポイントです。2017年に取り組み始めましたが、膨大な顧客データをいかに活用するか、社内リソース面も含めて様々な壁にぶつかりました。そこへCRM専業のコンサルティングファームであるスマートウィルを知りことになり、ご相談させていただいたところ、ノウハウが多岐にわたり、プレミアムブランドでの実績が豊富で、なによりも当社の課題と取り組みたいと考えていたことに提案内容が合致しましたので、CRMプロジェクトにご協力いただくことにしました。

坂本

ありがとうございます!このあたり、もう少し深堀させて下さい。

佐々木

そうですね。(笑)

データの活用において、業界の特殊性を理解し、具体的な提案をしていただいたことは、貴社を選定した決め手です。実際に百貨店のデータは共有できない、情報シェアできないなど、実際に見えない、活用できないデータも非常に多いです。スマートウィルから現実的データを活用できる手法を具体的に提案してもらったことは非常に助かりました。そしてプレゼンテーションの際に説明してもらった事例は、当社の課題と平仄の合った、正に欲していたものでした。当社にとっての優良顧客をどのようにデザインするか、このあたのお話は、私たちのイメージより上回っていましたので、コンサルティングファームへの業務委託は、当社として初めての試みでしたが、とても安心感がありました。検討に当たって、いくつかの会社からも提案してもらったのですが、我々プレミアムブランドのことをここまで理解されている会社は、無かったように思います。

店舗ごとに顧客管理と売上との相関関係を見える化したことで、それぞれ店舗の課題や改善施策が浮き彫りに

坂本

正に、運命的な出会いであったと、、(笑)
話は少し変わるのですが、プロジェクト開始してから丸2年経過しました。CRMプロジェクトを通じて、どのような成果が得られたかといったお話をお伺いさせてください。
一つの成果として、「データ分析」があろうかと思いますが、このあたりは、いかがですか?

佐々木

得られた成果は、沢山ありますね。
スマートウィルのアウトプットは全般的なCRM分析だけではなく、店舗における顧客管理オペレーションを考慮した使いやすいレポート設計になっており、非常に役に立っています。店舗ごとに優良顧客のシェアや、顧客ランクの推移を見える化したことで、顧客管理がしっかりできている店舗と、そうではない店舗をはっきりさせることが出来ています。これまでは漠然としていたものを、クリアにすることが出来るようになったことで、具体的な指導が出来ますし、しっかりできている店舗もそうではない店舗もそれぞれ取り組むべきポイントが見える化出来るようになりました。その課題に応じた対策を打つことが出来るようになったことは、当社にとってとても大きなことでした。どのようなトレーニングが必要なのか、どのような予算配分を行うべきか、枚挙に暇がありません。スマートウィルから提供される資料は、漏れなく社内展開し、それらをベースとした共通言語で当社の現状の認識を一にする事に非常に役立っています。事実、顧客管理がしっかりできている店舗の業績は高い傾向が見られ、売上との相関が高いことが証明されたことも大きく推進できた要因だったと思います。

現場のメンバーにやってほしい仕事は、”準備”ではなく”アクション”

坂本

店舗オペレーションに変化を起こすことが出来た、ということでしょうか。

佐々木

その通りです。

現場を取り仕切るストアマネージャー(いわゆる店長格)方から上がってくる声として、「提供頂くレポートは、非常に使いやすく、自分たちがやるべきことがクリアになった」といった話は良く耳にしますよ。店舗スタッフ方が、データに基づいてアクションを行う能力を身につけてきたように感じます。例えば、今年の11月の対策を検討するにあたって、1年前に提供頂いた前年11月のレポートを改めて読み込み、データに基づいて今月のアプローチを企画、実施するなど行っています。意外に思われたかもしれませんが、ご提供いただいている資料を使い倒しているのです(笑)。現場のメンバーにやってほしい仕事は、「準備」ではなく、「アクション」なので、スマートウィルから出てくる分析結果を活用し、次々と展開することが出来る、動く為の準備の仕事に時間を取られることがなくなったので、クイックに動くことが出来るようになったと実感します。実際、データを読み解くチカラがずいぶん醸成されましたし、皆成長したと思います。

もちろん、最初からそうだったわけではありません。定着活動は、様々な工夫が必要でしたが、スタッフへの継続的なトレーニング、坂本さんにも何度か講演してもらいました。店舗ごとにCRMスペシャリストの人員設置をはじめ、繰り返し、粘り強く、取り組んできたことが、功を奏しているのだと感じます。

真の優良顧客

坂本

店舗スタッフの方々にとって、活用しやすいCRMプログラムを提供できていて、本当に良かったです。

それでは本部では、どのように捉えておられますか?

佐々木

「当社にとっての真の優良顧客」を共通言語化できたことは、CRMを浸透させる上で、大事な一歩だったと思います。様々なデータ分析作業や、サーベイ、ワークショップ等を通じて、これまでなんとなくのイメージでしかなく、一人ひとりバラバラの認識だった優良顧客の定義を明確にすることが出来、共通化することができました。優良顧客と言った時に、社員全員が同じ認識を持てるようになったことは非常に大きなことです。単に、沢山買って下さる、頻度高く買って下さる、といった事だけではない、当社の戦略に共鳴して下さるお客様、このHUGOBOSSJAPANオリジナルの優良顧客の定義を策定できたのは、スマートウィルが当社にもたらしてくれた大きな資産だと思っています。当社の主戦場は、百貨店ですが、全体が苦しい中で、頑張ることが出来ているのは、こうした「優良顧客の定義」等に代表される顧客軸があるからだと思います。離反顧客への意識含め、具体的な会話が出来ます。従来は店舗に「良い顧客にご来店頂こう」と言ったイメージでしか伝えることができませんでした。しかし、Aさんにとっては、100万円以上購入してくれている顧客、Bさんにとっては、、、解釈も様々でした。現在は「最優良顧客」と定義した明確なターゲットを店舗に指示し、具体的なディレクションができるようになりました。

また、私自身が「商品」の責任者を兼任していることもあり、連動的に考えられる事も大きいと思います。現在では、顧客を5分類して、商品を準備しています。ファッションは、先取りしていかなければなりません。例えば、来年の春夏の仕入れは、1年前の夏には、終わっています。今は、データ分析結果があるので、「最優良顧客」が購入している商品の傾向はどのようなものか、、、商品面だけでなく、コミュニケーション面、デジタル面、すべてデータで判別、予測できるようになったことは本当に大きいです。

革命的なアプローチ

坂本

佐々木さんの発想力が素晴らしいですね。我々が提供している資料を駆使してくださり、本当にありがとうございます。そんな佐々木さんにとって、これまで私共がご支援させていただいた内容を振り返って頂き、印象に残っておられるものはどういうものがあげられますか。

佐々木

そうですね、顧客セグメンテーションを規定頂き、真の優良顧客を定義付けてくれ、店舗別に月次レポートを提供してくださっている。定期的なレポートのみならず、テーマに則した深堀分析による示唆の導出、顧客サーベイや、コミュニケーション施策の実行支援まで、本当に一気通貫なご支援を提供してもらっています。一つ一つを文字にすると、普通な感じですが、それぞれにスマートウィルならではの工夫がありますよね。大げさに言うと「革命的」です。私たちの想像を超えるアプローチがいつも印象的です。

お客様の声

坂本

ちょっと、恐れ多いですね。

本当にありがとうございます。ところで、お客様の声はいかがですか?CRMを推進され、何か変化は見られますか?

佐々木

トップのVIPのお客様は、変わりませんね。変わったのは、これまで店舗がコミュニケーションできていなかったところです。スマートウィルとの各論の取り組みは、企業秘密ですので多くは語れませんが、ターゲットを選定し、刺さる施策を打っていくことで、若い世代などのリピートが増えました。百貨店からも、ヒアリングされるほどですね。コミュニケーションツールについても、DMやLINEといったものよりも、反響の高いものをスマートウィルに導入いただいたことが、施策の柱となっています。

CRM取り組みの成功要因

坂本

このインタビューで、仕事が増えそうです。ありがとうございます。(笑)

ところで、CRMへの取り組みにおいて、成功のための大事なポイントは何だと思われますか?

佐々木

CRMプログラムを策定したからといって、オペレーションするのは現場ですから、現場におけるCRMへの理解なくして成果は望めません。先ほど申し上げたように、地道な事の積み重ねにより、CRMプログラムの運用が推進できるようになったのだと思います。現場も、貪欲になってきています。以前は、「とにかく頑張る」というスタイルでしたが、今は、「こういうリスト出せるなら、もっとこういう事出来ないの?」と前向きな要望が上がるほどです。それだけ、お客様の声に耳を傾け、期待に応えたいといった事が醸成されたきたという事なのだと思います。
益々よろしくお願いしますよ(笑)。

今後の取り組み

坂本

本当にありがとうございます。

とてもありがたいお話を聞かせて頂いておりますが、最後に一つ、アフター・コロナ時代における最大の課題は何でしょうか?その課題を乗り越えるために、どのような取り組みが必要でしょうか?
今後の展望についてお聞かせください。
また、それらをご支援する我々への期待値もお話しいただきたいです。

佐々木

まずは、トラフィックですね。コロナ禍で市場が縮小している今だからこそ、既存顧客の維持は企業戦略において益々重要なテーマとして挙げられます。以前から、坂本さんが仰っている、「離反する顧客は、どうしても発生してしまうが、その数を10%減らすだけでも売り上げに対するインパクトは大きくなる」といったことをきちんとやりたいと思っています。スマートウィルに提供してもらっているターゲットリストをさらに活かし、適切なタイミングで的確なツールを駆使し、アプローチする施策をしっかり取り組んでいこうと考えています。

具体的には、離反防止には、顧客に親和性の高いサービスを案内しなければなりません。どのようなサービスが求められているのか把握するために、精度の高い顧客データ収集は不可欠です。これもスマートウィルに何度も実施してもらっている施策ですが、カスタマーサーベイの調査結果を顧客データと紐づけることで、総論ではなく、各論での真の顧客ニーズを把握することが出来ます。モニターを利用した市場調査では到底知り得る事が出来ないものです。シンプルな例で申し上げれば、ゴルフ好きな坂本さんのような顧客には、、、等、十人十色な顧客の趣味嗜好を把握して、個別に提案できるようにすることが大事だと思います。

インバウンド顧客が戻ることは、当分考えにくい、限られたトラフィックの中で、既存顧客をしっかりと大切にしたいです。

そうしたことを積み重ね、顧客を知り、更に世代を拡げていきたいと考えています。具体的には、フラッグシップストアを新規出店含め、ファッション性の強い店舗として、新しいカスタマーに向けた新しいショーケースとして、位置付けていきたいと考えています。それらを支えて下さるのは、若い世代です。今まで、こうした世代は、ほとんどがワンタイマーで終わってしまっていました。そこをデータを駆使して、2回目の顧客に引き上げたい、その為には、リピーターの傾向は徹底的に分析したいです。

まだまだ取り組んでいきたいことはたくさんありますので、顧客データの収集、分析、施策立案について、継続してスマートウィルにサポートしてもらいたいと考えています。

坂本

なるほど、データに基づいた精度の高いカスタマージャーニーを描き、変化していくライフスタイルに呼応したCRM戦略を描いていこうということですね。

佐々木

その通りです。カスタマージャーニー的には、アフターサービスも強化したいと考えています。顧客と、ブランドとのコミュニケーションにおいて、例えば、カスタマイズ商品を購入いただいた顧客に、購入後の一定の期間経過後に商品のサイズは大丈夫でしょうか?ケアやメンテナンスは必要でしょうか?といったコミュニケーションを実施し、購入後の関係づくりも今以上に大事にしていきたいです。その意味でも、CRMサービスの使い勝手を上げていきたいと思います。デジタル化もうまく組み合わせて。。

坂本

おっしゃる通りですね。より良い商品、ハートフルだけど、効率的な販売プロセス、それらにデジタルを上手く組み合わせたCRMプログラムを深化させられればと思います。デジタル時代であるからこそ、顧客は人間味あふれるサービスを求めていたりもします。弊社としても、リテールの在り方を新しく定義付ける新たなソリューションを準備しています。お客様の安全安心なご来店を実現させたり、実店舗に足を運ばなくても、オンラインビデオ接客を受け、お買い物が出来るリモートショッピングの提供など、これからのリテールを新しく定義付けるサービスです。
是非、ご紹介させてください。
本日は、快く、インタビューを引き受けて下さり、ありがとうございました。

佐々木

それは興味深いですね!確かに、リテールの在り方は、劇的に変わるのでしょうね。時代を牽引するプレミアムブランドとして、取り組みたいこと、取り組むべきことが、沢山あります。これからもどうぞよろしくお願いします!

坂本

こちらこそ、引き続きよろしくお願い致します!


<終わりに>
特別な顧客に付加価値のあるサービスを提供するだけではなく、CRMへの取り組みを幅広く実践していらっしゃるHUGO BOSS様との対談でした。
CRMはこれからの時代を見据える長期的な取り組みとして、より重要とされているテーマです。貴社の課題と真剣に向き合い、アフターコロナ時代の新しいリテールにおける貴社CRMを構築するご支援をさせて頂く事が可能です。当社のCRMコンサルティングサービスについて、ご興味ございましたらいつでもご連絡下さい。社員一同、お待ちしております。下記、「お問い合わせ・資料請求」フォームよりお願い致します。
なお、今回の対談は、当社の大切なクライアント様のご厚意により、実現したものです。対談内容に関するお問い合わせなどは、全てスマートウィルまでご連絡下さいます様、お願い申し上げます。最後まで、ご拝読いただきまして、ありがとうございました。